更新日:2026年8月17日

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GitLab Duo Agent Platformでデモ生成ツールを自作した方法

デモの姿は昔からこうだったわけではありません。キャリアを振り返りながら、その変遷をたどります。チュートリアルに沿って、自分だけのデモとエージェントを作ってみましょう。

デモを1本作るのに、以前は何日もかかっていました。スクリーンショットを撮り、ナレーションを書き、外部ツールでつなぎ合わせ、フィードバックを追いかける。しかも機能が変わるたびに最初からやり直しです。数か月前、私はこの作業の大半をGitLab Duo Agent Platform上のエージェントに任せました。

GitLab Duo Agent Platformは、インテリジェントオーケストレーションのためのプラットフォーム。ソフトウェア開発ライフサイクル全体でエージェント型ワークフローを実行しますが、その柔軟性は開発以外の反復作業にも活かせます。試しにデモ生成へ向けてみたところ、期待以上の成果が出ました。だからこそ、手元にある繰り返し作業で同じことを試してみてほしいと思っています。そのための実践的なチュートリアルも用意しました。もうひとつ付け加えると、この取り組みにデベロッパーである必要はありません。エンジニアリング以外の職種からも、GitLabでこうしたエージェント型ワークフローを動かしたいという声が増えています。当てはまる方は、ぜひこのまま読み進めてください。

この記事の内容:

  • クリックスルーデモが効果的な理由
  • 進化の軌跡:VMから外部デモツール、そしてエージェントへ
  • デモ作成の各ステップ
  • デモ生成ツールの仕組み
  • デモはコードになった
  • GitLab Duo Agent Platformだからこそ実現できたこと
  • 最初のエージェントを作ってみる

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クリックスルーデモが効果的な理由

機能は、説明を読むよりも実際に動いているところを見たほうが早く伝わります。とはいえライブデモは簡単ではありません。製品へのアクセス権が必要ですし、迷わず操作できるだけの習熟も求められます。

その課題を解決するのがクリックスルーデモです。各ステップに添えられた短い説明に導かれながら、実際に自分の手で操作を進めていく形式。動画と違い、ペースを握るのは見る側です。実環境を用意するライブアクセスとも違い、実体はただのリンク。共有は無料で、何度でも使い回せ、いつ見ても内容が変わりません。

実例はGitLab Demo Hubでご覧いただけます。

クリックスルーデモ。実際の製品フローをステップごとにガイドするクリックスルーデモ。実際の製品フローをステップごとにガイドする

進化の軌跡:VMから外部デモツール、そしてエージェントへ

デモの姿は、昔からこうだったわけではありません。自身のキャリアを振り返ると、次のように変化してきました。

  • 仮想マシン(2000年代):製品とデモコンテンツを事前に組み込んだ仮想マシンを配布。のちにESXサーバー上へ集約されました。
  • 外部ツール(SaaS時代):分析機能を備えたベンダーのプラットフォームへ移行。ただし作成は依然として手作業で、そのインフラに依存していました。
  • エージェント型(現在):エージェントがプロンプトからデモを生成し、作成元と同じプロジェクト上にデプロイ。ベンダーへの依存はありません。

各段階を経て、デモは着実に扱いやすくなってきました。そしてエージェント型の段階に至って、ようやく継続可能なものになったのです。

デモ作成の各ステップ

クリックスルーデモの作成は、次のステップで進みます。

  1. 機能を理解する:ドキュメントを読み、イシューやSlackを掘り起こし、プロダクトマネージャーやエンジニアと認識を合わせて、紹介する対象を正確に把握します。とくに重要なのは、その機能がどんな課題を解決し、顧客にどんな影響と価値をもたらすのかという点です。
  2. ストーリーを組み立てる:顧客への影響が伝わる現実的なシナリオを作ります。日々の業務のどんな課題が解決されるのか、なぜそれが重要なのかを描き出す作業です。
  3. 環境を準備する:プロジェクトを作成し、ストーリーを裏付けるリアルなデモデータを用意します。たとえばセキュリティダッシュボード向けに脆弱性データを仕込む、意味のあるグラフを描けるデータを流し込む、といった作業です。
  4. 素材を収集する:実際の操作フローをスクリーンショットや動画で記録します。
  5. ナレーションを書く:ステップ2で定義したストーリーと顧客シナリオをもとに、各ステップを案内する文章を作成します。
  6. デモを構築する:外部ツール上ですべてをつなぎ合わせ、クリックで進むウォークスルーに仕上げます。関連資料へのリンクを追加し、各ステップのCTAを設定します。
  7. 関係者とレビューする:ドラフトを共有し、フィードバックを集めて改善を重ねます。
  8. 修正を反映する:ナレーションを更新し、ステップを並べ替え、必要に応じて作り直します。
  9. 公開する:GitLabドキュメント、Demo Hub、その他の掲載先へ配信します。
  10. 告知する:Slackで社内に共有し、ブログ記事に埋め込み、SNSで発信します。

これらを合わせると、数日がかりの作業になります。しかも製品側で何かが変わった瞬間に、ステップ3からやり直しです。

エージェントは、このほぼすべてのステップを支援できます。ドキュメントを読む、イシューをスキャンする、Slackからコンテキストを集める、プロジェクトにデモデータを投入する、そして重要なポイントを抜き出す。何を作るかを決め、公開前に結果を確認する人間の役割まで完全に置き換えることはできません。それでも、下地となる作業の相当な部分を任せられます。

私が構築したエージェント型ツール「Click-Through Demo Generator」では、ステップ1、2、5、6、9の自動化に絞りました。入力が明確で、出力が予測でき、これまで完全に手作業だったステップです。残りのステップも、専用のエージェントで対応できます。

デモ生成ツールの仕組み

エージェントの動作はこうです。プロジェクト内のフォルダーにスクリーンショットを置き、必要に応じて機能の背景をまとめたcontext.mdを添えます。あとはイシューのコメントからワークフローをトリガーするだけ。エージェントがスクリーンショットの並べ替えとリネームを行い、ナレーションを書き、組み込みのブランドテンプレートでデモを構築して、マージリクエストを作成します。内容を確認してマージすれば、デモはGitLab Pagesへ自動的に公開される仕組み。修正が必要になったら、エージェントに更新を依頼するだけです。

Click-Through Demo Generatorをトリガーするイシューコメントと、マージリクエストのリンクを返すエージェントの応答Click-Through Demo Generatorをトリガーするイシューコメントと、マージリクエストのリンクを返すエージェントの応答

内部では、カスタムフローがトリガーされています。エージェントは私が作成したカスタムツールを呼び出し、各スクリーンショットにナレーションのメッセージボックスを重ねながらHTMLテンプレートへ組み上げ、マージリクエストのリンクをイシューにコメントで返します。文章の書き方を方向づけるのはスキルの役割。おかげでナレーションは、自社機能の羅列ではなく顧客にとっての成果に焦点を当てた、GitLabのマーケティングメッセージに沿った内容になります。

以下は、エージェントがナレーションを書くたびに読み込んで従っている、そのスキルのSKILL.mdに記載された実際の指示文です。

「優れたナレーションが売るのは成果であって、UIの案内ツアーではありません。クリックして進んだ人が、ドキュメントを一切読まずに、この製品がどんな課題を解決するのか、なぜこのアプローチが優れているのか、そして自分に何ができるようになるのかを理解できる。そんな状態を目指してください。

すべてのデモは3幕構成で組み立てます。顧客の痛みから始め、製品がそれを段階的に解決していく様子を見せ、最後に持ち帰ってもらう価値を明言して締めくくってください。」

多言語対応も同じ発想です。ローカライゼーション用のスキルをプロジェクトに追加すれば、以降はすべてのデモが自動的にローカライズされます。

デモギャラリーデモギャラリー:本番公開前にデモをレビューし、ステージングする場所

スキルによる公開の自動化

本番用のデモポータルであるDemo Hubへの掲載も、デモ公開そのものと同じくらい手がかかりません。公開準備が整ったら、開発用ギャラリーでそのデモにproductionタグを付けるだけ。これを合図に、エージェントがこのプロジェクト内のスキルを実行し、Demo Hubプロジェクトへ処理を引き継ぎます。短い説明文を書き、当日の日付を打ち、newタグを付け、デモをカードとして追加するマージリクエストを作成する、という流れ。そのマージリクエストをマージしてデモを公開するかどうかは、今も人間の判断に委ねられています。

デモはコードになった

クリックスルーデモの実体は、HTML、スクリーンショット、設定ファイルの集まりにすぎません。だからこそ、リポジトリとの相性が抜群です。一部の人しか使い方を知らない別ツールに閉じ込められることも、もうありません。GitLabプロジェクトに置かれることで、次のことが可能になります。

  • マージリクエストでのレビュー
  • チームメンバーによる改善
  • 変更履歴のバージョン管理
  • 人間だけでなくエージェントによる更新

デモは一人の担当業務ではなく、チームの資産になります。これは大きな変化です。特別なツールの知識がなくても、より多くのメンバーがデモを作り、レビューし、改善し、公開できるようになりました。イシューを作成してMRを承認できる人なら、誰でもこのワークフローを使えます。

自分でも試したい方へ

Click-Through Demo Generatorプロジェクトをフォークし、READMEでセットアップ手順をご確認ください。プロジェクトをフォークしてもカスタムフローは複製されないため、フォーク先でGenerate click-through demoフロー(閲覧にはGitLabへのログインが必要です)を有効にする必要があります。あとはREADMEが残りの手順を案内してくれます。

GitLab Duo Agent Platformだからこそ実現できたこと

このプロジェクトは、GitLab Duo Agent Platformがなければ格段に難しいものになっていたはずです。

足りなかった基盤を埋めてくれたのが、まさにGitLab Duo Agent Platformでした。イシューコメントから起動するカスタムフロー、必要なランタイムと依存関係だけを定義したコンテナイメージ、そしてマージリクエストの作成やイシューへのコメントなど、GitLabを直接操作する組み込みツール。デモの確認はマージリクエスト上で行い、問題なければマージして、あとはエージェントがDemo Hubへ公開します。

プラットフォームの用語で言えば、これはエージェント型の自動化です。カスタムフローがエージェントの振る舞いをオーケストレーションし、GitLabの組み込みツールが、個別の連携設定なしでイシュー、プロジェクトファイル、マージリクエスト、GitLab Pagesの操作を可能にします。

カスタムフローを使えば、独自のマルチステップワークフローを定義し、カスタムツールでエージェントを拡張できます。スクリーンショットとナレーションをデモのHTMLテンプレートへ組み上げる、私が作ったツールがまさにその一例。機能そのものは自分で実装し、それがフローの一部としてGitLabのコンピューティング環境上で実行されます。

依頼も、レビューも、成果物も、デプロイも、すべてがGitLabの中で完結する。だからこそワークフローは速く、見通しがよく、引き継ぎも容易になるのです。

最初のエージェントを作ってみる

ここで私自身のワークフローから少し離れて、GitLabのデータにアクセスできるエージェントに反復作業を任せると何が起こるのかを考えてみてください。チームリードであれば、資料作成に費やす時間が減り、レビューと意思決定に充てる時間が増えます。GitLabのコンテキストの上に、繰り返し発生する範囲の明確なタスクがあるチームなら、どこでも同じ変化が起こります。

まずは小さく、シンプルに始めましょう。デモ生成ツールはこのパターンの一例にすぎず、始めるのにコードを書く必要も、カスタムフローを使う必要もありません。エージェントを1つ用意し、明確な仕事を1つだけ与えて、何ができるかを見てみる。複雑なことに手を伸ばすのは、そのあとで十分です。

この短いチュートリアルでは、日々の仕事の段取りを助け、時間を節約してくれる最初のエージェントを作ります。GitLab Duo Agent Platformをまだお使いでない場合は、無料トライアルを開始すれば一緒に進められます。タスクは2つ、所要時間は合計10分ほど。

タスク1:カスタムエージェントを作成する GitLab UIで「Daily Planner」という名前のカスタムエージェントを作成します。次に伝えるのは、自分にとって優先度とは何か。たとえば、チームメンバーの作業をブロックしているイシュー、今週が期限のもの、あるいは「customerラベルが付いたものは期限に関係なく最優先で扱う」といった具合です。そのうえで、自分に割り当てられたイシューとマージリクエストを確認させ、これらのルールを適用して、最初に着手すべきもの、他者をブロックしているもの、後回しでよいものを提示させます。

タスク2:有効化してレビューする プロジェクトでエージェントを有効化し、GitLab Duo Agentic Chatを開いて対象のエージェントを選び、1日の計画を立てるよう依頼します。GitLabへのアクセスは組み込みで備わっているため、実際に割り当てられているイシューやMRはエージェント自身が取得します。出てきた計画を自分で考えた場合と見比べ、本当に役立つ内容になるまでエージェントへの指示を調整してみてください。

これで最初のエージェントが完成です。すでに毎日が少し楽になっているはずです。面白いのはここから。ほかに何を任せられるか、自分で判断するのに飽きている決めごとは何か、考えてみてください。それを続けていけば、単機能だったエージェントは、やがてワークフロー全体を回すアシスタントへと育っていきます。

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